首都圏の被災地浦安の液状化住宅レポート―浦安がんばれ!
首都圏にありながら、大津波や原発騒ぎで深刻な被災があるにもかかわらず、必ずしも状況が正確には伝えられていない被災地が少なくない。その一つが千葉県浦安市である。
5月23日、午後1時にNPOやジャーナリストや建築の専門家からなる急づくりの17名の視察団がJR新浦安駅集合、徒歩で約時間に渡り視察したが、同日の被災状況の報告である。
1.浦安市は埋め立てで出来た自治体
千葉県浦安市は「1960年代以降の埋め立てにより、4.4平方キロから約17平方キロと約4倍に増加した。
埋め立てによりここまで広がった自治体は全国でも他にない」といわれ典型的な埋立地で出来た市街地で「人口は約16万5000人、一人当たり個人市民税は兵庫県芦屋市、東京都武蔵野市に次いで全国の市町村で3位。『住みたい街ランキング』でも常に上位」(朝日新聞の地元版から)とされている。
しかし、3・11以降で大きく様変わりした。大震災以降の浦安は、賃貸アパートや賃貸マンションから、浦安市の外に去って空き家が目立つという。だが、長く住み着いている土地持ち住民は、地価も下がっているという理由で急に売るわけにも行かない。
案内人のK氏は自嘲気味に、浦安の高級住宅は「砂上の楼閣」になってしまったと言う。
液状化した町の現状と自治会などの精力的な活動の一端をレポートする。
2.入船地区住宅のほぼ100%が被災
駅から海側に向かう大きな道路沿いに、入船地区?日の出地区の住宅街を地元在住のK氏の案内で被災のポイント地点を歩く。
震災から2ヵ月半も過ぎ、平日の街は一見平穏に見える。しかし、一歩、大通り沿いの歩道に踏み込むと、新たに一部アスファルト舗装はされても傾斜や亀裂とともに段差も残り、車椅子による通行は難渋するところだ。
住宅街の道路は、一直線のはずの道路脇の電柱がてんでバラバラに傾き、電線も波打っている。よく見ると道路の中心を頂点に亀裂が走り、側溝に向けて左側だけが一直線に遠くまで傾斜している。
その住宅街の道路には、土木用の車両が1列駐車。多くの作業員、それに交通整理の警備員が道に充満し、騒音や煙を上げている真っ最中。道路補修あるいは配管設備を埋設する改修などのライフライン補修の作業が進行中なのだ。
道路際の建物の敷地周りのフェンスが捻じ曲げられ、門の柵と新聞受けが壊れあるいは礎石が割れている。2階建ての同じ高さの戸建住宅の2軒の躯体が外側に倒れてきて、屋根部分が接近している。一見しては分からないが、多くの建物が傾いている。また、地域によっては、傾いてはいないがその一帯で均等に30センチほど地盤が沈下した家もある。既に、基礎部分をジャッキアップし、水平補修をしている工事現場もある。
道路のあちこちのマンホールが1mほど立ち上がっており、一部はそのまま道路に残して「浦安の液状化のシンボル」とする方針という。
だが、「地震の揺れは未だ続いており、今後も液状化が進まないとはいえない」という理由で住民の多くは工事着手に慎重であり、まだまだ補修箇所は限られているようだ。
一方で、大通りに面した一角の元焼肉店の被災建物は、既に撤去されて更地になって、整地されている。震災前は行列の出来る店で、早急な事業再開のため建替えを準備しているようだ。住民の立場によっても補修への対応が違うようだ。
大通りわきの中層のRC造ビルはかなりの被害が出て、すでに取り壊しが決まっているようで、立ち入り禁止のロープが玄関に張られている。ビルの1階は沈降しており、砂が噴出したのは明らかで、入口が砂で覆われドアの鍵も掛かっていない様子。砂は黒っぽい灰色の細かな砂で、手で触るとサラサラとしている。
一方のマンションや高層のホテルは、「岩盤まで支持杭が打たれている」とされた地盤処理がなされ、外見上で躯体への被害は見られない。しかし、玄関前の道路に陥没亀裂箇所と変化のないところとが見られるなど、狭い地域の中で被害にも格差がある。このようなマンションでも、階段や駐車場・庭(共有部分)などは戸建て住宅地と同様の被害が見られる、という。
3.浦安市の現状と自治会の対応
地震と液状化により敷地や道路が部分的に移動し、各戸の敷地境界石が移動してしまっているところも少なくない。つまり敷地の占有部分が広がったり狭くなったりしている例もみれる。液状化地域で修復された後に、登記所の実測図面に基づき道路境界測量と隣地境界測量を実施して確定する必要が発生する、とこれからの問題点を指摘している。
また、今回の大震災で道路と敷地の高さが上下に動いたため、敷地全体に下水や雨水が流れ込むなど、排水問題で費用と時間がとられることも予想される、と住民は早くも今後の事態を危惧している。
浦安市は被災家屋の修復に最大で100万円を補助し、国も最大で300万円支援する修復することになっている。だが、住民の考えでは500万円から700万円はかかる、という現実もあり、これからが正念場だ。
浦安市入船自治会で自治会役員の話を聞いた。そのポイントは以下の通り。
・第一次埋立地の堤防や河川に近い地域の被害が大きく、高級住宅地のほとんどの家(97%の家が何らかの被害を受けた)が傾いた。
・地震による激しい倒壊被害はなく、液状化による被害だけで、人的被害(死者)はゼロ。
浦安市の対応が素早く、道路や側溝などの泥砂の排除や道路の凹凸等、応急処置などがなされ、又、被害の実態調査と対応策などが適切に進められた。
・ライフラインでは、停電は無く、2週間後に水道が復旧し、ガスは3週間後、下水道は4週間後に開通してトイレが使えるようになった。
・上下水道が使えないため、給水車での配給、トイレも公園に簡易トイレ設置、学校のトイレも開放された。
自治会住民アンケートの概略
97%の住宅が何らかの被害をうけているが、
入船自治会では、4月初旬に住民アンケートを実施しているが、その概略は以下の通り。
■「地震の被害の有無」(213件)では97%とほとんどが「被害あり」となっている。同地区の被害の内容は建物本体と外構がほとんどである。
■建物被害の内容(177件)で、・建物全体の傾斜が79%・建物一部の傾斜20%
――そのトータルで99%となっている。
■建物の傾斜の程度(175件)では、・扉が手をかけずに開く」が67%・ゴルフボールが勢いよく転がる」が50%――といずれの場合でも半数を超えている。
■自治会、市役所への要望では、回答の多い順に
・市、国からの助成金の支給を希望したい 23件・道路の早期復旧 20件・復旧計画の対案などの情報が欲しい 16件・液状化の対策を考えて欲しい 11件―で、補助金の支給を希望、道路の早期復旧を望むという回答が約6割を占めている。









