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ヒロとやんばるの空と海

-戦後独立国だった頃の明るいOKINAWA-

【第1話】(3)豚肉と年齢

◇ブタ肉食べればトシとる◇

 円い漆塗りの剥げかけたちゃぶ台の上に、ご馳走が所狭しと並べられているごちそうを前に、みんなが板の間にならんで座り、ふだんは無口のお父が珍しく言いかけます。「みんなも正月のウワーシシ(豚肉)を食べたから、ぶじ1歳トシを取った。今年も病気をしないようチバリヨウ(がんばってよう)」と、みんなの顔を見ています。

 

ヒロはそんなことはどうでもいい、ごちそうだ!と思っています。みんなで「いただきます」を言い終わる前に、先ず、皆より先においしそうな豚肉に手を出します。

 

「手が早すぎる!」と、いつもだとお父やニイニイ(兄)に手でたたかれるところですが、今日は正月なのでにこにこしながら黙っています。「正月の日に怒ると年中怒るクセがつくので、正月だけはやめて」とお母に暮れから何度もいわれているからです。

 

でも、みんな口いっぱいにごちそうをほおばりながら、うんうんと頭をたてに動かします。


食卓は静かでみんな口をきくひまも無いくらいに、食べるのにいそがしいのですが、そのなかで一人だけ、ヒロの弟のユキが、お父の顔を見ながら大きい目をさらに大きくして何かブツブツ言っています。


 「ふーん、ブタ肉を食べるとトシをとれるのか」とぶつぶつ言っています。いつもはくいしんぼうでとおっているユキ、食べるのをわすれてお父の言葉に感心しているのです。

 当時、トシの数え方は『数えトシ』といって、正月に一歳というように、正月になると皆ないっしょにトシをとったのです。


1歳の誕生日はタンカーと言って、盛大にお祝いをしますが、生まれたときに1歳になりそれに正月を迎えているので、赤ちゃんの誕生日にはたいてい2歳になっているのです。つまり誕生日にトシをとる人はいませんでした。

 ヒロには思い当たることがあるのです。というのは、遠い親戚のハルヌ屋(畑の家)のマーちゃんが今年の四月から小学校に入ります。今度の正月にマーちゃんは「数えトシ」で8歳になるからです。


体はちょっとマーちゃんが大きいが、メンコ、ビー玉、シマー(沖縄相撲)のどれをとっても、たいていユキが勝っていたのですが、ユキにとって納得できないことがあったのです。ヒロたちの集落済井出のムラヤー(公民館)にある幼稚園の友だちなのです。


そこの幼稚園には、5歳から小学校入学前の8歳までの園児15名ほどがいます。

暮れの休み前の幼稚園で、葉子先生がみんなに、「マーちゃんたち5名は来年8歳になるので、屋我地小学校の1年生ですね。おめでとう」と話したのをユキは聞いて、うらやましかったようです。

「ユキもマーちゃんと学校に行きたい」とお母にねだっていたのを、ヒロは聞いていたのです。小学校に入れないマーちゃんより1つ年下なのです


住☆リフォームねっと (2011年4月 9日 15:05) | コメント(0) | トラックバック(0)

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