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ヒロとやんばるの空と海

-戦後独立国だった頃の明るいOKINAWA-

【第1話】(8)そろってまたもごちそうの巻

◇運天原の集落は子供がいっぱい◇
 酒を飲み始めたお父は、いつでもなかなか動こうとはしません。ユキがさかんにお父の手を引っ張っているのですが、「分かっている」と返事はするが、座ったままで首を前に垂れており、どうやら眠っているようです。
暗くなる前にと、お父を残して、にいにい(兄)、ユキ、それにヒロの3人は、松林の坂道の続く山道を歩いて30分ぐらいの距離のお母の実家のある運天原集落に向かいます。
でも、もうごちそうでお腹は、パンパンに張っています。正月が過ぎると、今度はいつ肉が食べられるか分からないので、無理してもお腹に詰め込みます。それで、歩くのも苦しいくらいです。
 それで大人でも食べ過ぎてお腹をこわす人もいるようで、正月の時期の食べ過ぎの腹痛を特別にソーグァチワタ(正月腹)とよんで、程度が分からない食いしん坊を馬鹿にしている大人もいました。

 隣集落の運天原(ウンティンブロー)は、子供が多く、小学校の同じクラスの友達もたくさんいます。みんな今日はきれいな服を着て楽しそうです。子供たちは、道いっぱいに広がって、メンコ、コマ回し、ビー玉転がしできそいあっています。
石畳の道で回りは大きな木や石の塀が囲みコケだらけです。その上両側の溝は水が流れ、道はいつもしめっていてころびそうな坂道です。そこを上りきると目の前の対岸、今帰仁村にある運天港という大きな港が見渡せます。そうです。ここは狭い水路が村境になっているのです。

右手に大きな汽船が二隻も泊まっているのを右に見ながら、左に坂をちょっと下ると左に大きな瓦屋根の家があります。そこがクシヌ屋(後ろの家)という屋号のお母の実家なのです。

土手とみかんの木に挟まれた道が、目指すその家の門です。門を入ると、左手にまず馬が2頭もいる厩(うまや)と牛小屋とがあり、竹と大きな松の生えている山を背に、セメント瓦の青黒っぽい屋根の大きな家母屋と、それに続く土間の台所などがある建物があります。ここに来るといつも、ここだけの古い屋敷の臭いが漂っているように、ヒロは思えます。

 雨水をためる大きな四角のセメント製の大きなダンプカーほどもある水タンクが座っている。その広い庭にはまた、こども二人でもかかえられないくらいの大きなうす緑の幹、こぶが足をかけやすいようになっている古いシークァーサー(ミカンの一種)の樹もあります。樹の大きな木の幹から縄の紐がタンクに下がっています。ここは水が取れないところなので、雨水をタンクに貯めているのです。

◇ユキがブタ肉で目をまわす◇
 母屋の仏壇の前は、3つの部屋の仕切り戸が外されて、20畳ほどの広さの部屋になっています。行ってきたお父のおじいのいる前垣集落のナガミヤーより親戚の人の数が多くいます。本島に働きに出ていたおじさんおばさんも戻ってきています。
 お祖父さんはじめ、大勢の親戚がもう集まっていて楽しそうに話しています。大人は酒を飲んでおり、酒の臭いがぷんぷんしています。誰かがサンシン(三味線)を弾いていて、正月はたけなわです。

 あいさつがすむと、また同じようにごちそうが出されます。
ヒロとにいにいはもう、ハシをとる気にもなりません。
だが、その中でユキはモーレツな勢いで、ごちそうを食べはじめました。

 一時間後、目を白黒させて、タタミの上にひっくり返ったユキが叫んでいます。
「もうマー坊と同じトシだ。ウァーシシ(ぶたにく)を三つ(3回のつもり)も食べたぞー。アシタから小学校へ行くんだ」と。大人は何のことかわからず、目をこれも白黒。


 翌日、マー坊の家に遊びに行くユキは、鼻たかだか。もう小学生になった気分です。
このルンルン気分がこわれるのは、いつでしょうね。カワイソ!
(第1話終わり)

次回は 【第二話】魚取り変じて の予定


住☆リフォームねっと (2011年11月26日 15:24) | コメント(0) | トラックバック(0)

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